- 国際ラグビー評議会 指導者(IRBトレーナー/エデュケーター)
- アジアラグビーフットボール協会 理事
- 日本ラグビー協会 普及・競技力向上委員長
- 特定非営利活動法人クラブ・ドラゴンズ 理事長
Think Globally Act Locally
地球規模で考えつつ、地域に根差した確実な活動をしていく。言い換えれば、ラグビー活動を通じて、地球環境の変化を考えたり、人類の平和を考えたり、社会への貢献活動に従事したり… そして、そもそもわれわれ流通経済大学ラグビー部や、特定非営利活動法人クラブ・ドラゴンズ(以下、NPOドラゴンズ)が拠点としているわが龍ケ崎市や茨城県南地区に対して、われわれの愛してやまないラグビー活動を通じていかに貢献していけるかということがとても重要であります。口で言うのは簡単ですが、実態を伴う活動にしていくのは大変困難です。しかし、しっかりとしたビジョンを掲げ、ゴールを設定した以上確実にやりきる所存です。
実は、わたしは今年度からアジアラグビー協会の理事になりました。日本ラグビー協会の普及・競技力向上委員会の委員長として、長年日本のラグビー指導者の育成や年代別の日本代表選手の育成に取り組んだり、レフェリーの養成にあたってきました。今後はこれまでに得た知識、スキル、経験をさらに発展させ、アジア全域へのラグビーの普及を考えていこうと思います。日本からアジアへのベクトルです。一方で、インターナショナル・ラグビー・ボード(IRB)の指導者育成アジア地域担当者として、世界的な視点からアジアラグビーの指導者育成にアプローチしてきました。つまり、日本からアジアへと、世界からアジアへの双方向のアプローチです。
そこで、アジア全域のラグビー普及を考えたとき、新たな試みとして、アジアン・スクラム・プロジェクトが浮かびました。これは、2019年のラグビーワールドカップ日本開催を契機に、そのレガシープログラムの一環として、アジア地域の優秀な若手リーダーたちを、この日本のラグビー環境で育成し、ワールドカップを通じて、ありとあらゆる教育を施し、そこで育ったアジア各国のリーダーたちが2020年以降の未来において、アジアのラグビーの発展に大きく貢献していけるようにしたという構想です。
そのような企画を計画している段階ですが、先日(2012年5月5日)行われたアジア5カ国対抗戦、日本代表対UAE戦の後に、IRBのアジア地区担当マネージャーであるジャラッド・ギャラハー氏が来学しました。すでに、このアジアン・スクラム・プロジェクトの概要は、彼にもIRB本部にも打診してありましたので、本学がその拠点になれるかの実態調査が目的です。その趣旨とは、この日本のどこかにアジアラグビー普及のための拠点を構想するというものです。もしこれが成功すれば、この龍ケ崎にIRBと連携したアジアラグビーの拠点ができることになります。
冒頭の理念に掲げた通り、これが実現すれば、本学ラグビー部とNPOドラゴンズのもろもろの活動の主旨、そして本アカデミーの求めるところと一致します。われわれの目指す理念などを説明させていただくとともに、本学施設ならびにこの龍ケ崎市の誇るスポーツ施設や住環境などについても、二日間にわたり視察していただきました。非常に好感を得たのは、グランド施設や屋内の体育施設、学内のIT関連の装備などもしかりですが、何よりも本学学生の活動実績や指導者などの支援体制といった人材資源の豊富さとプログラムの具体性でした。
今後、このアジアン・スクラム・プロジェクトの拠点として、本学ならびにNPOドラゴンズ、ひいては本アカデミー活動がどのように連携を保っていくかは、さらに踏み込んだ議論や準備が必要であるとしても、われわれの現在行っている活動が、その理念に合致する活動であるということがここで示されたことになります。
これまでのわれわれの活動は一見、我田引水、自画自賛のような形で展開されてきたようにもとらえられがちですが、今後は国内外の公的基準をクリアし、そういった機関としっかりと連携を保ち、国際水準の資格付与なども前提に具体的な活動を推進していきたいと考えております。
日本のラグビー界には多くの優秀な施設や人的資源があります。われわれの活動も日本固有かつ有意な存在であるとともに、アジアや世界を射程においた活動を展開しつつ、この龍ヶ崎という一番大切な足元の活動で着実な実績を積んでいくことをしていきたいと考えております。本活動を応援していただきますようここにお願い申し上げる次第であります。
2012年5月9日 流通経済大学ラグビー部 CEO 上 野 裕 一