テーマや課題を明確にするには,今回のテーマや課題に関していろいろと 自問自答し,質問の形で言いあらわすとよい.テーマや課題のどういう点 について,どのような観点から書くべきか,それにはどのような意義があ るのか,自分自身に問いかけてみるのである.こうすることで,問題点が 明確化し,何が材料となり,どのような文献探せばよいのかも次第に明確 になっていく. また,調査・研究を開始する前に,手元に百科事典や教科書など参考にで きる文献があれば,そのテーマについてある程度の予備知識を得ることも 重要である.こうした予備的研究をおこなうことで,研究の動機や目標が はっきりしてくることもある. テーマや課題がある程度明確になれば,今後の情報探索に備えて,重要な 概念や用語を抽出し,同義語や関連語をリストしておくことをすすめる. テーマや課題によっては,どのような情報がどの程度必要なのかも検討し ておく必要がある.最新の情報だけでよいのかあるいは古い情報まで収集 する必要があるのか,専門的な情報が必要かそれとも一般的な情報で間に 合うのかどうかも検討しておく必要がある. レポート課題が前もって与えられえ,課題に対して自分自身ある程度の知 識を有し,書く内容がほぼ固まっている場合には,自分の考えや主張しよ うとすることがらを補強し,正当性を持たせるような文献を中心に収集す ることになる.しかし,その場合にも自分の考えや主張とは異なる文献を 無批判に切り捨てるのではなく,これらの文献にもできるかぎり目を通す ように心がける.
問題の確認 ↓ テーマを質問の形式で表現 仮のテーマを設定 ↓ 予備調査 ↓ テーマを狭めたり,拡大したりする テーマの練り直し(洗練化) ↓ 問題意識を持ち情報探索に当たる
以上を要約すると,まず問題の所在を確認し,仮のテーマを設定したら,その テーマについて,どのようにまとめていくかを考える.できれば,テーマを簡潔 に説明してみよう.予備調査で得られた知識を基にテーマをより明確にできると, 情報の探索戦略やレポート・論文の組み立てがより容易になる. 一般には,テーマを決めてから情報の収集に取りかかるが,実際には,情報収集を おこないながらテーマを決めたり絞ったりすることもある. (上記は、
参考:長田秀一,”CD-ROMで学ぶ情報リテラシー”,p.7,亜細亜大学 からの抜粋です。)
論文・レポートの要件
論文はある問題に関して,調査・研究の結果に基づき,著者の考えや 思考過程を他人に理解してもらうよう表現する文書で,不特定多数の 読者を対象にしている. レポートは課題を提出した特定の人を想定して書くもので,基本的に は論文と変わるところはない.論文やレポートは,できるだけわかり やすい言葉や文書で誤解のないように正確に表現する. 論文やレポートは,文書の形式をとるために,論文やレポートとして の形式や表現上の約束事が存在する. 論文やレポート作成は特別な能力ではなく,一種の技能である.従って, 論文やレポート作成の基本的なルールを知り,訓練することによって, 誰もがある程度の論文やレポートを作成することができるようになる. 論文やレポートを作成する場合,以下の諸条件を満たしているどうか検討 する必要がある.・論文やレポートの体裁が整っている ・読者の関心を呼ぶような内容である ・ある程度のオリジナリティがありその分野に貢献できる ・テーマに関するレビューを含む ・参考文献や引用文献の記述はマニュアルに従う ・読みやすい
論文の構成
研究論文の場合,今回の調査・研究で何を問題にし明らかにしようとしたかの 「目的」,どんな「方法」を用いたのか,どんな「結果」が得られたのか,ど のように「考察」したのか,どのような「結論」に達したのかを,論理的に筋 道を立てて記述していく. 論文の書き方やスタイルを示したマニュアルもいくつか存在する(SIST,APA, シカゴマニュアル等).卒業論文作成の場合には,各大学や学部で「卒業論文の 書き方」を用意しているところもある.また,雑誌に論文を投稿する際には,各 雑誌の「執筆要項」(投稿規定)に従わなければならない.このように,論文の 書き方やスタイルは数多く存在するが,基本的に大きな違いはない.ここでは一 般的な論文のスタイルについて紹介することにする. 論文は,標題,目次,要約,キーワード,本文,付録,注・引用文献リスト, 索引等から成り立っている. 本文の構成と内容は,一般に以下のようになるが,本文の各章・節の構成順序を 示すのに,最近では,1.,1.1,1.2・・・,2.,2.1・・・のように, ポイント・システムを利用することが多い.序論,緒言,はじめに
序論は,読者が論文を読むかどうかを判断するのに利用される.序論は,本論の 予備知識を提供するものでもあり,序論には問題の所在,背景,先行研究,取り 組み方,研究の理由・意義,研究の目的を書く.本論(1章,2章・・5章)
調査・研究の方法や結果を論理的に展開し詳しく論じる.その際,文献やデータ を引用しながら論拠を示し,結論にいたる過程を明らかにする.結論,結び,おわりに
本論のポイントを簡潔にまとめ,自分の意見や見解を述べる.また,今回の調査 ・研究の意義を述べるほか,今後の課題や将来の発展性を示唆する.