ヴェルコールの山々 (1997年)

  『海の沈黙』の作家ヴェルコールと同名のこの地方の山々は、テラス状の山で、頂まで樹木に覆われている。麓からずっと続く森林の長い上り坂を終え、開けたと思ったら、先は断崖になっている。この写真(中)も、あと十歩も歩いたら真っ逆さま、というところから撮った。

 こちらは、グルノーブルにだいぶ近づいたところで撮影。

 ブルヌ渓谷の道

       

 ヴェルコールの山塊を半ばを越え、ほぼ東に進路をとってグルノーブルへと向かう途中、すごい道に入った。すごい、といっても道が荒れているのではない。本当にすごいところに作ってあるのである。絶壁と絶壁の間に川が流れ、見下ろすと光が届かないほど深い。まるで、巨大なクレバスのようである。そこに道が「掘られている」。岩棚を利用しつつ、三分の一くらいは岩にトンネルを掘るか、削っている。光のコントラストが強すぎて、トンネルを出たところで撮ったら下の写真のようになった。道が「くりぬかれている」。

 それにしても、写真ではまったく迫力がない。残念。