コート・ダジュール (1997年)
コート・ダジュールを、昔は「紺碧海岸」といった。コートは海岸、ダジュールはアジュール(青い顔料)の、という意味なのであるから、適切な訳である。しかし、アフリカには、「象牙海岸」とか「黄金海岸」とか、かつて奴隷がそこからアメリカへと運ばれたイメージのよくない海岸もあるし、また漢音では、たぶん、どうもフランスの夏のリゾート地のにおいがしない、ということからか、いつのまにか原音をカタカナで言うようになった。
地中海は、対岸がアフリカであるせいか、よほど南にあると思われがちである。しかし、ニースの緯度は北緯43度、つまり日本でいえば北海道札幌市あたりになる。もちろん、地理的条件が違うので、北海道よりだいぶ暑いが、東京ほどではない。だいいち、湿気が少ないので、真夏でも日陰に入れば快適である。ただし、近年、地球温暖化のせいか、夏の気温が上昇し、高齢者を中心に死亡者まで出す騒ぎになっている。私が初めてヨーロッパに行ったとき、フランスの一般家庭には、エアコンというものは存在しなかった。日向から室内に入ればひんやりとした。ところが、近年、だいぶ東京に近づいてきたらしく、ニュースによれば、エアコンが飛ぶように売れているとのことである。といっても、まだ東京の暑さとはだいぶ距離があると思うが・・・。
コート・ダジュールの海岸には、ヨーロッパ中の、いや世界中の金持ちが、ヴィラを建てている。私には現代の上流社会がどのようなものか、想像もできないが、時折すばらしいロケーションにある別荘と近くに停泊するヨットやボートを見て、これは現代ヨーロッパ・ノーブルの必須アイテムなのかも、と思ったりする。
左に別荘、右にヨット