エクサン・プロヴァンスのメインストリート、ミラボー大通り (2010年)

 エクサン・プロヴァンスは、地元ではエクスと簡略に呼ばれている。多くの南仏の町同様、エクスの歴史もローマ帝国時代にさかのぼる。旧市街のあちこちには古代の痕跡がある。下の二つの泉もローマの歴史を感じさせる。苔の下には何があるのか、数百年にわたって厚く覆われた泉は、もはや自然の造形物となっている。

 街角の今も水を流し続ける泉。これらを最初に作ったのは、おそらくローマ人だろう。アルルでもそうであったが、改修したり、新設したりしつつも、今なおローマの恩恵を受け続けている。

 旧市街の中心にある広場では、午前中市が開かれている。印象的だったのは、実に多くの種類のオリーブがあることである。全部一つずつ試食するだけで、小腹が満たされそうである。

 エクスはセザンヌが生まれ、そして死んだ町である。青春期、ゾラに強く誘われてパリに出たが、結局パリになじめず、一時期、半分をパリ半分をエクスで暮らしたが、最終的には故郷に戻った。思いもかけない評価を得る晩年まで、無名の画家として身近な自然と静物画を描き続けたが、とりわけサント・ヴィクトワール山を描き続けたことは有名である。

 

 サント・ヴィクトワール山は、見る場所によって山容を変える。上左は、ガルダンヌ付近から、上右はエクスからトロネーに向かう途中の丘で、下はトロネーよりさらに山に近付いたボールクイユの北の農場から撮ったものである。