リール商工会議所  La Chambre de commerce de Lille (2010年)

 リールはフランドルの中心都市のひとつである。リール駅から電車に乗って北に向かうと、次はもうベルギーだ。私は、ある日はここ始発のTGVでブリュッセルに向かい、またある日はローカル線でブリュージュに、またある日はガン(ゲント)に向かった。リールはフランスにありながら、ベルギー国鉄の終点でもある。かつてはみな同じフランドルだったのである。

 フランドルに来て気付くことは、街で一番高い建物、一番豪華な建物が、しばしば商工会議所や市庁舎であって、教会ではない、ということである。ブルジョワたちの力がいかに強かったか、また宗教が必要不可欠であったとしても、宗教に縛られることなくいかに自由で現実的な精神を持っていたか、それは、ブリューゲルに代表されるフランドルの絵にも、教会前広場がすべての中心ではない街の作りにも、街を代表する大建築物にも現れている。

 

 リールを代表するサン・モーリス教会へ向かう路(左)と旧市街の中心にある広場(右)。広場に面してはかつての商品取引所や劇場など、美しい建物が並んでいる。

 

 左はリール美術館、右はオペラ座