ロカマドゥール (2005年)
ロカマドゥールは、ミシュラン3星の、フランスでは有名な景勝地だが、アクセスが悪いせいか、夏の一時期をのぞいて、観光客であふれかえる、ということはないようである。私が訪れたときは3月末で、オンシーズンではなかった、ということもあるが、町は寂しいほど閑散としていた。門前の斜面の上に作られたさして広くない駐車場にも、まったく待つことなく入れた。
ロカマドゥールは、断崖の上に城砦、中ほどに教会、その下に門前町、という三層からなっている。町の中心は11〜13世紀建立のサン・ソヴール教会で、その中のノートルダム礼拝堂には奇跡を起こすといわれる「黒いマリア」があって、かつて多くの巡礼を集めた。つまり、ここは小さな宗教都市といいうる。崖の上の城砦も、封建領主のものではなく、チュール司教の城館が14世紀に改造されたものである。
しかし、町は、百年戦争と宗教戦争のとき、略奪を受け、「黒いマリア」とともに重要な宝であった「聖アマドゥール」の像も破壊された。16世紀以降、徐々に町は衰退に向かい、アクセスの悪さもあってか、19世紀には、巡礼さえ、少し南のカオールに行くようになってしまったという。現在、人口600人あまり。しかし、やはり、この断崖の町はすごい。20世紀になって人気を回復するのも当然である。世界的には、まだ、知られざる観光地だが、いずれツアーの中に組み込まれる日も近いかもしれない。
東側から見たロカマドゥール。
西側から見たロカマドゥール。
町から城砦を見上げる。
ロカマドゥールの近くに宿を取って、この地方の名物料理を頼んだ。左上は子羊の骨付き肉の塩ふりグリル焼き。右上は牛肉にナントカ?ソースをかけてオーブンで焼いたもの、下右はいろいろな豆類と一緒に鴨をオーブンで焼いたもの(カスレCassouletに似ている)で、左下はそれを取り分けた皿。この料理はお好みで酢をかけて食べる。中央のびんがその酢である。