ポン・デュ・ガール (1997年)

 ポン・デュ・ガールは、川にかかる水道橋としては、現存する最大最古のものである。紀元前数年頃の建造で、南フランスにおけるローマ帝国の重要都市ニームに水を供給するのが目的であった。ミシュランのギッド・ヴェール(Guide vert 緑の旅行ガイド)には、日量2万トンを供した、とある。1985年、ポン・デュ・ガールは、ローマの歴史建造物として、世界遺産に登録されている。

 見てのとおり、橋は三重の構造をなしている。最上部が目的の水路であり、幅は3メートルとあるが、石の壁の部分を除けば水の通り道はおそらく2.5メートルほどしかないだろう。これが7メートルの高さで(橋全体の高さは約49メートル)、アーチの数35、全長275メートルあるという。水路の上部には、蒸発と汚れを防ぐため、蓋がかぶせられていた。現在は失われていた。一方、最下段の橋は、幅6メートルあり、柱の脇を車(戦車や馬車)が通れるよう設計されている。横から見たのではわからないが、柱は上流に寄せて立てられており、人馬が通行するのは下流側である。川から22メートルの高さがあり、アーチの数6、全長142メートル、とある。ついでに、中間の橋についても記しておけば、高さ20メートル、幅4メートル、アーチ数11、全長242メートル、という。中間の橋にはところどころ出っ張りが残っている。おそらく、彫像がつけられていたのではないかと思われるが、証拠がない。確かなことは、ローマ人は意味もなくぶざまな出っ張りを残したりはしない、ということだけである。何があったのだろう?