自由の女神とエッフェル塔 (2005年)

 なぜ自由の女神がセーヌ河に立っているのか、三十数年前初めて見たとき、奇異に思った。しかも、さらにこれよりずっと小さなものが、リュクサンブール公園にもある。不可解だった。しかし、なぞはしばらくして解けた。自由の女神は、フランス人がアメリカに、建国百周年(1886年)のお祝いに贈ったものだった。そして、そのレプリカが、フランス革命百周年(1889年)に際して、パリ在住のアメリカ人から贈られたのだった。なお、像の作者はアルザス出身のフランス人、フレデリク・オーギュスト・バルトルディ Frederic Auguste Bartholdi である。

 

 フランス革命とアメリカ独立革命とは、かなりねじれた関係にある。ルイ16世のフランスは、アメリカの独立戦争を援助して、莫大な国費を費やした。歳入が5億リーブルしかないときに、国王政府は、20億リーブルつかったのである。このため、累積債務は45億リーブルに上り、国家財政が破綻した。これがフランス革命の原因となる。つまり、国王はアメリカを援助して首を切られるはめになった、とも言い得る。ところが、それによって、フランス国民のほうは、結果的に、数年遅れてアメリカ新国民と同等の自由を手に入れることができたわけである。ともあれ、善は悪、悪は善、みたいな話で、終わりよければすべてよし、ということかなー。