ジャックマール・アンドレ美術館の入り口 (2010年)
ジャックマール・アンドレ美術館は、夫で銀行家のエドゥアール・アンドレ Edouard Andre と、妻で素人画家のネリー・ジャックマールが、1869年に創設した個人美術館である。二人はとりわけ18世紀美術を愛好し、美術品の収集に情熱を傾けた、との旨が、パンフレットに記されている。
私がこの美術館を訪れたのは、この美術館の収集品に興味があったからではない。19世紀の貴族や大ブルジョワが、どんな屋敷に住んでいたのか知りたかったからである。
ジャックマール美術館の通りに面した入り口は、いわば馬車が通る門で、何の変哲もない。しかし、そこを抜けて地下道のようなアプローチから緩やかな上り坂を半周して一段高くなった中庭にはいると、上の写真のような邸宅が現れる。本当の入り口はここなのである。
左上がジャックマール美術館の入口。ここを入ってトンネルのような通路(もともとは馬車が通るためのもの)を抜けると、右上の通路に出る。
内部も大変豪華である。ことに4,50人は入れそうな円形の部屋と吹き抜けのホールを巻くように作られた階段は、19世紀の富豪のありようを垣間見させていた。