マルセル・エメ (2005年)

 『アメリ』(映画)を想い浮かべながらモンマルトルの丘を散策していたら、この現代彫刻に遭遇した。あー、おもしろい、と近づいていって、傍らにあったプレートに目を移したら、なんと、マルセル・エメだ。そうか、「壁抜け男」か、そういえばこういう顔だった、と思い出した。大学2年のとき、仏文科の講読の授業で、1年間、エメの短編小説集を読んだ。内容はもうよく憶えていないが、庶民の生活を、面白い視点で描いていた印象が残っている。最近はこの短編「壁抜け男」がミュージカルになって、日本でもよく知られた存在になった。ともあれ、彼は、小説の舞台同様、サクレ・クール寺院の裏手に当たるアパルトマンに住んでいた、と、この発見から分かった。それは、この彫刻の壁と直角の角度で建っているアパルトマンである。

  壁の彫刻よりも、多分若い頃のマルセル・エメ。