サン・ルイ島 (2010年)
サン・ルイ島は、パリに住む人間のあこがれの居住地と言われる。中心にありながら閑静で、四周をセーヌに囲まれ、河に面したアパルトマンには広い空間が開けている。しかも、サン・ルイ島から眺めるノートルダムはことさら美しいし、右岸の市庁舎や左岸のトゥルネル河岸もけっして悪くない。かつて、島の東には、多くの文人・芸術家が出入りしたピモダン館があり、ここで開かれたある日のハシッシュ試食会(煙で吸うのではなく口にする)には、ゴーチエ、バルザック、ボードレール等が同席している。そのボードレールや、シャルル=ルイ・フィリップ Charles-Louis Philippe (小説家)、またセザンヌも、一時期この島に住み、現代ではレオン・ブルーム Léon Blum (首相)やポンピドゥー Pompidou (大統領)、ジョルジュ・ムスタキ Georges Mustaki やブリジット・フォンテーヌ Brigitte Fontaine (ともにシンガーソングライター)が住んでいた。パリに永住することを決めた岸恵子のアパルトマンもここにあるそうである。
ノートルダムの背面とシテ島とサン・ルイ島を結ぶ橋 (2005年)