ソルボンヌ大学サン・ミシェル側入り口 (2010年)
厳密には、ソルボンヌ大学という大学はない。現在はパリ大学の第三と第四が入っている。もちろん歴史上のソルボンヌは、ボローニアに続くヨーロッパで二番目に古い大学で、『アベラールとエロイーズ』のアベラール先生でよく知られている。中世には、アベラールのような優れた学者たちが多く集り、もっとも権威ある大学だった。現在はどうか。現在フランスではグランド・ゼコルGrandes Ecoles 出がエリートで、パリ大学のようなユニベルシッテuniversité 出はその下に位置付けられている。前者はコンクール、つまり入学試験を受けて入る。後者はバカロレア(入学資格試験)に合格して入る。前者は定員が少なく、二浪までしか許されない(受験資格を失う)。格段に条件が厳しいのである。フランスの官僚や政治家、文学者や大学教授のほとんどは、グランド・ゼコル出といわれる。フランスは、相変わらず日本をはるかに凌ぐエリート社会で、学歴とそれを通じて出来上がる人脈がものを言う。