エッフェル塔 (2005年)
エッフェル塔は、フランス革命百周年記念の万国博覧会の目玉として建設された。つまり、1889年のことである。当時、評判は散々だった。パリの町並みに合わない、落ち着いた雰囲気を壊す、などなど。いつの世も、多くの人間は保守的で、新奇なものを珍しがりはするが、取り入れるとなると抵抗を示すものである。有名な小話が残っている。「パリで一番素敵な場所はどこ?」「そりゃ、エッフェル塔さ」「どうして?」「だって、エッフェル塔が見えないじゃないか」。 この小話の元は、短編小説の名手モーパッサンだといわれている。モーパッサンはエッフェル塔が大嫌いだった。ところが、最上階のレストランをよく利用した。その理由がこれだという話である。
(2010年)