プチ・パレの正面口 (2010年)

 プチ・パレは、グラン・パレと対をなす建物で、ともに1900年のパリ万博のために作られた。二つの建造物は同様の様式で統一され、両者を分かつ通り、アヴニュ・ウィンストン・チャーチルを歩くと、思わず知らず、ああーいま自分はいまパリにいるんだなー、という満足感に浸ることができる。ルーヴル同様、いわば盛装したパリの、大変豪華で華麗な空間を生み出している。

 プチ・パレはパリ市の運営する美術館で、右翼が特別展の会場、左翼および地下が常設展会場となっている。私が訪れたときは、右翼でイヴ・サンローランの展覧会をやっていた。常設展は無料なので、チケットを買わず中に入ったが、コントロールにあって自分が見るのはこっちだけと説明しなければならない。入場口を別にしてくれればありがたいのだが・・・。

 タダの常設展など碌なものはない、などと思ったらどんでもないことである。ギリシャ・ローマから近現代まで、全体の作品数は多くないが、すばらしいものが展示されている。しかも建物そのものが美術品である。ルーヴルともオルセーともまた異なる贅沢な時間を、必ずやここで過ごせると思う。その上、プチ・パレはすいている。

 プチ・パレの左翼大ホール (2010年)

  

  プチ・パレにあったセザンヌとルノワールの二つの「ヴォラール」(画商・・・今に残る写真と比較すると、セザンヌのヴォラールはあまり本人に似ていない)。

 この他にもたくさん貴重な作品がある。ことにクールベの作品が見たい人、ナビ派が好きな人は、ルーヴルからもオルセーからも近いし、なにしろタダなのだから、来なくちゃ。