ルーヴル宮中庭 (2010年)
中央のガラスのピラミッドの下(地下)に美術・博物館のエントランスがある。 ピラミッドの奥にある凱旋門は、ナポレオンが作らせたカルーゼル凱旋門で、おそらくフォロ・ロマーノにあるコンスタンチヌス凱旋門をモデルにしている。小さいが、美しい門で、この門を起点に、いわゆる凱旋門(エトワール凱旋門)とデフォンスにある大凱旋門ビル(アルシュ)とは、一直線に並ぶよう配置されている。フランス式街作り美学なのだろう。(2010年)
ルーヴル宮とチュイルリー公園 (1997年)
ルーヴルの向こうの、中央にはパンテオン、右にはサンジェルマン・デ・プレ教会とサン・シュルピス教会、左にはノートルダム寺院が見えている。左右両端に建っている白い建物は、修復工事のために建てられたプレハブで、いずれ取り壊される。左手前のフェンスやその上の荒れた部分も、工事が終われば美しい庭園の一部に復元される。
手前の幅の広い歩道上には、パリ・コミューン(1871年)まで、左右両翼にわたる宮殿正面口、ともいうべき建物があった。反乱側の放火により、消失した。
上左は、一階の通路になっている柱の間から見たピラミッド。上右は中庭に隣接するカルーゼル広場。この写真の正面の門を抜けるとカルーゼル橋となる。下はセーヌ河の船上からルーヴルを撮ったもの。
1997年にパリを訪れたとき、チュイルリー公園のリボリ通り側に、全体に作りの小さな遊園地があった。小さいとはいっても、りっぱに、ジェットコースターもどきも、中規模な観覧車もある。私は、その観覧車に、まだ9歳だった娘のために、乗った。上2枚目のルーヴルの写真はそのとき撮ったものである。
小さな観覧車のせいか、景色よりスリルを楽しむ趣きで、やたら回転が速かった。その代わり何周かするのである。おかげで、一周してこれは絶景だと分かり、二周目にはカメラを構えた。娘は、景色にも回転にも大喜びだったが、私の方も嬉しかった。中心部のこんな景色は、容易に見られるものではない。73年、パリに初めて来たときには、このようなものはなかった。いつできたのか知らないが、そう古そうな設備ではなかった。
それから8年後、2005年、私は再びパリにやって来た。そのとき、遊園地は跡形もなく消えていた。永遠の都パリにとって、ほんのひとときだけの観覧車からの絶景だったのである。
セーヌ河側から見たチュイルリー公園。中央左手奥に観覧車が見える。観覧車の高さは、ロンドンや東京お台場のものに比べればずっと低い。この場所の観覧車は、たしかに周りの景観を少し壊すから、仮設ということにならざるを得ないだろう。もし、時の幸運に恵まれてこれを見い出し、勇気を奮って子供に混じって乗ることができれば、普段は見られないすばらしい眺めを得ることができる。
観覧車の上から撮った景色。左端にオルセー美術館、その右、ちょっと離れたドームがナポレオンの棺のあるアンバリッド、そしてエッフェル塔。