サン・マルタン・ドゥ・ボッシェルヴィル Saint-Martin-de-Boscherville (2005年)
サン・マルタンは、12世紀に建てられた古い修道院(写真奥)があるだけの、大変小さな町である。(ここには一軒のホテルもお土産物屋もなかった。人通りもほとんどなかった) もちろん、人によっては、その修道院を見るだけで旅行の目的が達せられるだろう。写真に撮ることはできなかったが、広いフランス式庭園を前に鐘楼をそびえさせている白亜の教会(聖ジョルジュ教会)は、庭園の広さと尖塔の高さが計算しつくされ、木々の形状の細部にまで手入れが行き届いて、南ヨーロッパではけっして見ることのできない、厳粛な清潔感、というか、時間と自然に抗ってここに宿った永遠性を維持しようとする潔癖な宗教的精神を感じさせる。
ノルマンディーは、昔から、フランスで最も多く、すぐれた神父を輩出するところといわれる。この町にきて感じる清浄な空気は、その理由を教えているように私には思えた。
上は聖ジョルジュ教会。この反対側に広い庭園がある。
ルーアンとサン・マルタンをつなぐ昔の街道沿いには、フランス農業の豊かさを感じさせる貴族の城館を思わせるような家がいくつもたち並んでいる。
こちら(上)は本物の貴族の城館かもしれない。