シャルトル大聖堂 (2010年)
シャルトルはパリ・モンパルナス駅から1時間ほどで行ける大聖堂の町である。左右の塔は、左が火災で失われ、約半世紀後に再建されたために、様式が異なる(右がロマネスク、左がゴシック)。しかし、このアンバランスこそが、シャルトル大聖堂の最大の魅力だろう。もし両方同じ塔であったならば、これほど独創的な美しさは現出し得なかったにちがいない。大聖堂は、1979年、世界遺産に登録されている。
正面中央入り口の彫刻。あのヴェネチアの翼の生えたライオンと翼の生えた牛がイエスの左右にいる。マルコの象徴である有翼ライオンは、同時に復活の象徴でもあり、ルカの象徴である有翼牛は、同時に犠牲の象徴でもある。
左は魔よけの役割を果たすものだろう。素朴で味があると思う。右は天使の日時計。
シャルトルは、中世のステンドグラスでも有名である。これほど美しく完全な青のステンドグラスはない、といわれる。
シャルトルの町は、国鉄駅から中に入ってしまうと気付かないが、なだらかの丘の上に展開しており、大聖堂はその頂上にある。教会東側方向から裏手に回ると階段があり、それを下って川に出、そこから尖塔を仰ぎ見ると、大聖堂が高みにあるのがよくわかる。
教会裏手には数百年は経っているとおぼしき家が何件かあり、上の写真はその一軒である。窓と窓との間に木彫の聖人が置かれており、その風化の様子から古さが推測される。当初は彩色が施されていたはずである。
大聖堂と現代彫刻。
この広場には現代彫刻と共に、きれいな公衆トイレがあった。シャルトルは、私の知る限り、フランスで最も用の足しやすい町である。インフォメーションにも土産物店にも、気軽にトイレを貸す旨が掲示されている。しかも、ここの公衆トイレは複数が使える機能的できれいな「あたりまえの」トイレだった。きっと、観光局に日本を旅行した人がいるのよ、とは妻の推論である。