サン・マロの城門へ (2005年)

 サン・マロは、大貴族であると同時に、詩人であり、小説家であり、政治家でもあったシェトーブリアンの故郷として有名である。旧市街は城壁に囲まれており、城壁の北側は海に面している。沖にはたくさんのヨットが浮かび、砂浜には子供たちが遊んでいた。

 旧市街は南北700m足らず、東西400mあまりで、城壁に囲まれた街としては割りに大きい。世界中から観光客が来ており、日本人も、モン・サンミッシェルと一緒のツアーが組まれているせいか、たくさん見かけた。

 サン・マロは観光都市であるが、しかし、街にはちゃんと生活があり、もっぱら観光客を相手にしているような雰囲気はない。旧市街の市場近くは、ごく普通の庶民街で、裏手の中庭のような空間では、子供たちが駆け回って遊んでいた。その近くで、私は、偶然コインランドリーを見つけた。サン・マロで遭遇するとは思ってもみなかった。車のトランクには2・3日分の洗濯物がたまっている。これ幸いと、それを取りに行き、機械に投げ込んで、乾燥までベンチに座って時間をつぶすことにした。その間、地元の若い人たちが入れ替わり立ち替わり利用しにきた。見知らぬ私に向かって、みんな、にこやかに「ボンジュール!」と挨拶し、てきぱき用事を済ませ、また微笑を投げて出て行く。ぶしつけでもなく冷淡でもなく、気持ちのいい、ほどのよい距離を知っている。長い社交の伝統があるせいなのだろうか。

 左は港を守るための砦跡

 昔は帆船が出入りしていたサン・マロの港は、現在、おもにヨットハーバーとして使われている。

 正面の城門を入るとすぐ右の古城のような建物が、サン・マロ市の市役所

 城外から見ると、上のような姿をしている

 城壁に上って、眼下の通りを見た。城壁は結構な高さがあることが分かる。通りの奥にバラ窓のようなものが見えるが、それが市場である。その斜め向かいにコインランドリーがあった。

 旧市街の一番高い場所にある教会

 

 修復中の建物に出会った。壁が崩れないようにこうして三角形に足場を組むのか、と、はじめて実際を見て、大変興味深かった。