フランスでゲランドの塩といえば、最高級塩の代表である。いや、日本でもフランス料理のシェフや美食家には常識かもしれない。この塩は、最高級の味がするばかりではない。値段もしかるべくハイソである。ゲランド塩の代表「塩の花 Fleur de sel」の小さな袋(100g余り)を、お土産にいくつか買って帰ろう、と思ったが、塩としてはべらぼうに高価であり、それを知らない人に「なーんだ、塩じゃないか」と思われては、貧乏な私の立つ瀬がない。だから、自宅用と、舌も知識もハイソな知人に一つ買ってあきらめた。下の写真はその塩田の景色である。塩田を訪れれば、高価な理由はすぐに納得される。昔と同じ方法で、「塩田農夫が」とでも言ったらいいのであろうか、人力と太陽の恵みだけで、塩を生産している。それにしても、この高価な塩が近代以降も需要を失わず、つまり幾多の安価な塩との競争に敗れることなく作り続けられているというのは、美し(うまし)フランスの食文化のなせる業かもしれない。
「塩田農夫」はみな長い棒を持っている。ごみや水草をとるのに使うのだろうか? それとも、「あぜ」を開けたり閉めたりするのに使うのだろうか?
ゲランドの町は、全体が城壁に囲まれている。中心には教会があり、そのまわりには商店が並ぶ。ヨーロッパの古い都市によく見られる景色だが、建物の棟の高さが3階くらいしかない。ごく小さな町なのである。それなのに、これだけ厳重に厚い城壁で囲まれている。それは、おそらく、塩が大きな富を生んでいたことの証拠だろう。
街の城門である。車が一台なんとか通行できる幅がある。
教会の前は、舗石の修復中であった。作業員は数人しかいなかったから、広い広場全体をやり終えるまで1年はかかりそうである。田舎らしく、のんびり作業していた。
ここがゲランドの中心街である
水やワインやお茶を注ぐ<ポット>の専門店を見つけた。陶磁器もあれば、銀製もある。