カルトレは、小さな港町である。コタンタン半島の西側の海岸は、付け根にあるモン・サン・ミッシェル辺りまで、潮の干満の差が大きい。堤防の石についた海草がそれを示している。しばしば船腹を干あがった海の泥砂の上にのせ、倒れそうに傾いている船を見かけた。しかし、潮が満ちてくれば、まるで止まっていた時間が動き出すように、船は活発に動き始める。
港の近くでハンドメイドの置物を売る店を見つけた。あいにく昼休みで中に入ることはできなかった。中をのぞくと、安くはないがさほど高い値つけではない。小さな町でそんなに商品が売れるようには思えないが、この種の店はフランスのあちこちに見かける。みな暮らしているのだからなんとか生活する分の需要はあるのだろう。やはり、文化なのかもしれない。フランス人の平均年収は、日本人の3分の2程度だが、はるかに豊かに生活しているように思える。