サン・ジャン・ドゥ・ラ・リュズは、スペイン国境に近い古い港町である。私が訪れたときは、たまたま復活祭の初日で、町には近隣の村からばかりでなく国境を越えてスペインからも人が来て、バカンスの頃のようににぎやかだった。街の教会では、キリスト復活を祝う夜のミサが行われていた。内陣の椅子に座りきれず、壁際にたくさんの人が立ち、司祭の説教を聴いていた。フランスは、現在、先進国中もっとも神を信じる人間の割合が少なくなった国だが、それでも生活の中にはカトリックがしっかり根を下ろし、一年の生活の節目を刻んでいる。春は、復活祭とともに、花咲き乱れ、鳥たちがさえずる、まさに生命の蘇りを感じさせる絶頂期となるのである。
復活祭のサン・ジャン・ドゥ・ラ・リュズ (2005年)
下の写真はフランス=スペインの国境である。EUが発足して、国境線には誰もいなくなった。もし、この「税関の跡」がなかったら、ここからスペインだということも分からない。