エンタテイメントチケットのネット販売における成功要因

 

 

 

<目 次>

序章··· 1

1.ネットビジネスの背景··· 1

2.研究目的··· 2

1章 チケット販売の典型··· 2

1.チケットの本質··· 2

2.チケットの流通ルート·· 2

3.店舗形態··· 3

(1)バーチャル&リアル併用型(クリック&モルタル)· 3

(2)バーチャル専用型··· 3

2章 チケット販売業界の現状··· 3

1.ネット販売にチケットが適している理由··· 3

2.チケット販売業界のマーケットシェア率··· 4

3.チケット販売業界の現状と課題··· 4

4.ネット販売会社の取り組み··· 4

5.ネット専業会社の躍進··· 5

3章 チケット販売の新しいビジネスモデル··· 5

1.価格差別化··· 5

2.電子チケット·· 6

3.ワントゥワンマーケティング··· 6

4章 事例にみるチケットのネット販売会社の分析··· 6

1.チケットのネット販売2社の概要··· 6

(1)ローソンチケット·· 6

(2)イープラス··· 6

2.事例分析··· 7

(1)両者の戦略の違い··· 7

(2)新しいビジネスモデルの活用··· 7

3.分析結果··· 8

(1)理想の店舗形態··· 8

(2)新しいビジネスモデルの構築による優位性··· 8

終章··· 8

1.まとめ··· 8

参考文献··· 9

 

 

 

 

序章

 

1.ネットビジネスの背景

インターネット人口は現在約3000万人と言われており、インターネットでの情報収集やショッピングがあたりまえの時代がやってきた。さらにインターネットのできる携帯電話の普及によりインターネット人口は増加していくことは間違いないだろう。

このようにインターネットを基盤とする企業間取引や消費者向けのオンラインビジネスが急激なスピードで広がってる中で、時間・距離を超えて企業と企業、企業と消費者の二一ズを直接結びつけるeコマース(電子商取引)の台頭は、あらゆる産業の業界地図と企業の事業プロセス全体を変えている。その中でも企業と消費者間の取引(BtoC)は今後もさらに伸びることが予想されている。その理由としてこれからブロードバンドの時代をむかえることがあげられるだろう。ブロードバンドとは、大容量のデータを高速通信できる「広帯域インターネット」のことである。例えば、従来型の「放送」をネット上で簡単に展開・通信したり、映像などの大容量コンテンツを瞬時に送受信できるようになり、ユーザーにとって利便性が感じられるようになる。ブロードバンド時代とはつまり、超高速ネットワークによって多様な情報が伝送されることにより、私たちのライフスタイルが大幅に変わることと同時に、さまざまなジャンルでビジネスチャンスが生まれることである。

日経BP社の今後のインターネットショッピングで購入、利用してみたい商品の調査では、「旅行・観光」(54.2%)、「書籍」(49.8%)、「チケット」(49.1%)がトップ3となった。「旅行・観光」と「チケット」は購入、利用したことがある商品ではそれぞれ25.1%、13.8%だったのが、購入、利用してみたい商品としては半数前後の人があげており、今後の需要が期待できる商品といえる。このようなことから、ネットによるチケット販売業界でも本格的な競争がはじまったのである。

 

 

2.研究目的

今、ネットビジネスでは一般的にバーチャルの店舗だけを持った企業より、バーチャルとリアルの店舗を持った企業(クリック&モルタル)の方が有利と言われている。しかしチケット販売の場合では、バーチャルの店舗だけを持った企業の方が有利ではないかと考え、分析を通してチケット販売業界で成功していく要因を検証していく。

 

 

 

 

1章 チケット販売の典型

1.チケットの本質

チケットには日付と場所、予約されている席の番号などが書き込まれたエンタテイメントのチケットや出発地と目的地、飛行機の便名、出発日時と搭乗者名の書かれた航空券などがある。どれも情報が書きこまれた紙である。現在はチケットのほとんどが紙であるが、情報が書き込まれており、それが本物だと識別さえできれば、必ずしも紙である必要はない。近い将来には電子チケットというものも普及するだろう。チケットとはこれまで情報が書き込まれたものだと述べてきたが、他には、コンサートなどのイベントに参加するためにお金を払った証といえるだろう。情報が書き込まれたもの、お金を払った証。この2つがチケットの本質である。

 

 

2.チケットの流通ルート

図1 興行チケットの流通ルート

興  行  主

 


            直接販売       チケット取次業者          プレイ

                       (ぴあ、ローソンチケット等)      ガイド

 


チ ケ ッ ト 購 入 者

 


以下、権利を発行する主催者を「興行主」、間に立ってチケットの流通や広告を代行する業者の中で現券を窓口で販売するタイプを「プレイガイド」、権利をオンラインシステムでやりとりし、窓口やインターネットで販売するタイプを「取次業者」に分類する。

 

チケットの流通ルートには、興行主が直接チケット購入希望者に販売するタイプ。興行主からプレイガイドを経て販売するタイプ。興行主から取次業者を経て販売するタイプがある。コンサートやスポーツ、イベントの集客数が年々スケールアップしている今日では、興行主が自ら何十万枚ものチケットを直接売りさばくことはとうてい不可能なため、チケット販売のノウハウを持っている取次業者に委託する比率は高い。チケット購入者にとっても、ネット販売という24時間好きな時に予約できるというメリットがあるため取次業者から購入する比率は高い。チケット取次業者の中には、店舗を持ち窓口とネットで販売する業者[ぴあ、ローソンチケット(注)等]と、店舗をもたないネット販売のみの業者[エンタテイメントプラス(イープラス)等]が存在する。 この論文ではこの取次業者を経て販売するタイプに焦点をあてて記述していく。

(注)ローソンチケットは実際には店舗を持たないが、コンビニエンスストアのローソンにマルチメディア端末が設置してあり、そこでチケットを受け取り、支払いできるため、店舗とネット販売する業者に分類。

 

3.店舗形態

ネット販売をする場合の店舗形態として2つに分けることができる。

(1)バーチャル&リアル併用型(クリック&モルタル)

リアルな店舗とインターネットを利用したバーチャルの店舗を連携させるクリック&モルタルを展開することにより、顧客の利便性を高め、相乗効果によって相互の売り上げ拡大を図ることができるというものだ。ネットビジネスの持つメリットと、従来型のビジネスを組み合わせて、企業利益を最大化できる手段といわれている。

クリック&モルタルのメリットとして、リアルの店舗を持っているため、既存のブランド力が活かせるためマーケティングコストが安くてすむこと、多くの場合は在庫管理や物流面などの既存インフラを共有できること、商品や営業に対するノウハウを既に身につけていることなどがあげられる。さらに、インターネットそのものは誰もが持ち得る「武器」であり、ネット専業の企業にはないインフラやノウハウを持つクリック&モルタルがネット専業企業よりも有利だと言われている。

チケット販売業界ではぴあ、ローソンチケットがこの店舗形態にあたる。

 

(2)バーチャル専用型

チケット業界だけでなくモノを販売する場合に、実際に店舗を持たないためコストがかからないという利点がある。ただし実際に店舗を持たないため知名度や信頼性に欠けるという欠点もある。

モノを販売している場合、消費者は実物を見ないで注文するだけに、届いた商品が気に入らなかったり、調子が悪いなどの理由で返品や交換が発生するケースは多い。送料については「安いと思ってネットで申し込んだが、送料を加えると一般店舗で買うより高くついた」との声も多い。しかし、チケット販売では日付や場所など情報を提供しているものでチケットコレクターでもない限り、消費者はチケットのデザインや紙の質が気に入らないといったことを気にする人はいないだろう。送料については、チケットが紙の小片であることから、購入者への配送が容易であり、安価で済む。さらには電子チケットの登場でチケットを送らないで済むということも手段も存在する。モノを販売する業界より情報を提供する業界ではバーチャル専用の店舗が適しているといえる。

 チケット販売業界ではイープラスがこの店舗形態にあたる。

 

 

2章 チケット販売業界の現状

1.ネット販売にチケットが適している理由

 まずエンタテイメントのチケットでは情報が膨大で検索で適しているといえる。スポーツ・音楽といったジャンルからや、好きなアーティスト、ある地域や会場で検索することも可能である。そして、商品の本質が情報であることから購入するときに、デザインなどが問題になることはない。消費者が必要なのは、コンサート会場のどの席が空いていて、それがいくらかという情報である。したがってデジタル化された情報を伝達するコンピュータネットワークにとって、チケットは極めて商品提示に適している。さらに電子チケットシステムを導入することにより、郵送料が不要になり購入者にとって便利なシステムといえる。

 

2.チケット販売業界のマーケットシェア率

コンサートや演劇などのチケットの国内市場規模は約1000億円と言われている。チケット販売市場全体のシェアを見てみると50%以上のシェアを握るぴあがトップで、つづいてローソンチケットが約30%で2社だけで80%近いシェアを握っている。だがネット販売市場に限っていえば、店舗を持たないイープラスがシェアのトップを握っており、ぴあやローソンチケットはイープラスにやや遅れをとっているのが実情である。チケット販売は1章でも述べたようにネット販売という新しい販売ルートが生まれその比率は高まっている。そこでインターネットや携帯電話を使ってコンサートなどのチケットを販売する大手3社のぴあ、ローソンチケット、イープラスが熾烈な競争を繰り広げている。

 

3.チケット販売業界の現状と課題

従来のチケット販売で問題となっていたのが、人気アイドルやアーティストのコンサートや公演になると、チケット発売日に私たちユーザーはチケットを求めて何度も電話受付の番号を押したり、わざわざ開店前のプレイガイドに並んだりする必要があり、チケット購入にはとにかく手間がかかっていた。さらに一般の電話予約だと特定の人が何度も電話をかけて多くのチケットを予約し、独占してしまうということや人気チケットに予約が殺到することで他のチケット予約の電話もつながりにくくなるケースもあった。

そこで登場したのがネット販売における事前登録制の抽選販売システムである。まずユーザーが好きなアーティストやチームを登録をする。そしてこのとき登録したアーティストやチームのイベントが決まると販売業者から情報をメールやウェブサイトで提供する。ユーザーはこのあと決められた一定期間内に購入申し込みをして、抽選で当選すればチケットを購入できるというものである。このシステムではチケットの購入を望むすべてのユーザーに、チャンスを公平に与えるものであり、電話をかけ続けたりプレイガイドに徹夜で並ぶような、先着順でチケットを取る今までの販売方法の問題を解決するシステムであるといえる。この抽選販売システムはぴあ、ローソンチケット、イープラス3社とも採用しているが、すべてのチケットがそういうシステムにはなっていないので、完全に問題が解決されたとは言えない。さらにチケットで売り切れるものはごく一部で、完売するものは少ないという問題もある。

 

4.ネット販売会社の取り組み

ネット上でチケットを販売する場合、販売会社は窓口や電話経由でチケットを販売する際には徴収しない販売手数料などをネットの利用者に課す場合がある。ぴあを例にすると、チケット代のほかに、システムの利用料とチケットの郵送料が別途かかる。ネット上だけで利用できるチケットの抽選販売サービスを使えば、当選者は当選チャージを取られる。

一方、ローソンチケットのように、販売手数料を徴収しない代わりに、ネット会員から会費を集めるところもある。ぴあも今年5月まではネット会員から会費を徴収していた。

ネット販売には、24時間いつでも申し込みができたり、抽選販売のような斬新なサービスが受けられるといったメリットがある半面、窓口や電話でチケットを購入するよりも割高になることがある。そこでぴあやローソンチケットといった大手企業は、ネット会員の会費を無料にしたり手数料を値下げすることで、自社の優位性をアピールし始めた。

なかでもネット会員の獲得競争は激しさを増している。ネット会員になる利用者は、企業へのロイヤルティが高いと考えられるので各社は勧誘に必死になっている。会員になれば、チケットを買うときに必要な住所などの入力の手間も省けるので、繰り返しチケットを購入してくれる可能性が高まる。

チケットはもともと、販売会社が得る1枚あたりのマージンが少ない薄利多売のビジネスであり、ネット販売に商機があると判断したからには、会員を増やして販売シェアを拡大し、1枚でも多くチケットを販売したいところである。

 

 

 
ローソンチケットはネット会員組織を1つに集約

 

 
      モバイル会員 

テキスト ボックス: 年会費を大幅に値下げ

携帯電話とウェブサイトの両方で利用できる    (30万人以上を目指す)          年会費1500円

 

Lencore会員

 

携帯電話だけを利用できる(10万人以上)年会費2400円

 
              

 

 

 
     インターネット会員

ウェブサイトだけを利用できる(わずか)年会費1800円

 
             

 

 

 

(出所:川又英紀「激化するチケットのネット販売」,2001年12月号,p70)

 

5.ネット専業会社の躍進

チケット販売の大手であるぴあやローソンチケットがネット会員に本腰をいれた背景にはネット販売における需要が高まったこと以外にネット専業のチケット販売会社であるイープラスの躍進がある。開業から1年7ヶ月のイープラスはここまで、ネット会員数や売上高で大健闘してきた。イープラスの嶋田久英社長は、「ネット上のチケット販売に限れば、当社の販売シェアと売上高はともにトップ」と自信を見せている。イープラスは開業1年目の2001年3月期に約50億円の売上を記録、2年目の今期にはその2倍の100億円を目指している。その目標も嶋田社長によると十分達成できるそうだ。

イープラスは昨年4月の開業から今年10月までに100万人の会員を集めた(そのうち約75万人がネット会員)。イープラスの販売サイト「e+(イープラス)でチケットを購入するためには、最初に必ず会員登録をしなければならないので、会員登録をしなくてもチケットが買えるぴあのネット会員数とは単純に比較できないが、チケット販売市場全体では圧倒的シェアを誇るぴあ、業界2位のローソンチケットもネット上で着実に会員数を伸ばすイープラスを無視できなくなったのである。

 



(出所:川又英紀「激化するチケットのネット販売」,2001年12月号,p71)

 

 


3章 チケット販売の新しいビジネスモデル

1.価格差別化

ネット移行前のチケット流通では、いつどこで買っても同じチケットは同じ価格であった。その状況は昨今の販売会社・興行主のチケット販売に対する考え方と流通ツールの多様化により、変化してきている。

Aという1枚のチケットに対する需要が、ある時点では1、別の時点では50だった場合、これまでは基本的に値段に変化はなかった。これは経済学的に矛盾を抱えていた状態ではあったが、供給のためのツール・ルートの選択肢がない場合には仕方なく受け入れるしかなく、表層経済では同一価格で供給されていた。もちろん裏の実体経済では市場のニーズに合わせた価格がつけられ、ダフ行為やチケットショップなどで適正(と考えられる)価格で販売されていたのである。この状況にオンラインでのチケット販売が加わり、目覚しい進展を続けているのが現在である。チケット確認、申し込みツールはパソコン、携帯電話、マルチメディア端末と増え続け、受付は24時間OKで、リアルタイムで空席状況が確認できる。予約、申し込みと同時に電子決算での支払いが可能であり、場合によっては最後までペーパーレスで通すことも可能になった。

そして最も大きな変化として価格差別化が可能になったことが挙げられる。「Bというコンサートチケット」を考えると、発売直後は良い席に対しての市場需要が最も高い状態である。オンライン化によるメリットとして、供給側は、一律価格で供給するのではなく、究極的には「一席ごとにオークションにかけ、確実に決済を取ること」も可能となるのである。最も高い値をつけたものが希望をかなえていく。この積み重ねにより、需要・供給側それぞれに納得感が高く、かつバランスがとれたチケット販売が成立する。

次にBのチケットが余り始めた状態を考える。今度は供給側が値を下げた提示をすることにより、需要とのバランスをここでも取ることができる。納得する者が出るたびに残りチケットは減り、最終的にはチケット枚数の最適価格での売上達成につなげることができる。これは供給側にとって理想的な状態である上に、需要側にとってもマイナスがないモデルであると言える。

 

2.電子チケット

現在、イベント関係者にとっては、カラーコピーやプリンターを使ったチケットの偽造が跡を絶たない状況が続いており大きな問題となっている。また、会場管理関係者にとっては、入場時の入り口での混雑、座席までの案内、入退場、途中退場チェックなど人手を必要とする作業が多く、その対応と経費増が問題となっている。これらの問題を一挙に解決し安全性と効率化を実現するのが電子チケットである。ICチップを用いてICカード、携帯電話、モバイル端末など、さまざまなデバイスに組み込み、非接触によるデータ通信技術を実現する。

JR東日本では非接触カード「Suica(スイカ)」の定期券を11月から導入している。自動改札機の読み取り装置部分にカードを触れさせるだけで改札が通れ「スイカ」にお金を貯めてプリペードカードにしておけば、自動的に乗り越し精算もできるといったことを実現しており好評だ。

 

3.ワントゥワンマーケティング

消費者向けのビジネスを行っている企業にとって、消費者の個人データは極めて価値が高い。そこでネット販売と事前登録制の抽選販売システムを始めたことにより顧客の購買履歴や趣味嗜好などが把握でき、対象を絞った効率的なマーケティングが可能になったといえる。

 

 

4章 事例にみるチケットのネット販売会社の分析

1.チケットのネット販売2社の概要

(1)ローソンチケット

1996年、株式会社ローソンの子会社として設立。日本のポピュラー音楽「J−POP」を主軸としたチケット販売で急成長を遂げ、創業以来4年間で取扱高は約350億円(2001年2月)に達する。チケット販売業界では後発ながらも、すでに最大手の一角を占める。

 

(2)イープラス

株式会社エンタテイメントプラス【サービス名:e+(イープラス)】は、2000年4月の営業開始以来、インターネットを中心にチケット販売を手がけている会社である。2001年10月現在、登録会員は約100万人に達している。同社はチケットの店頭販売から撤退したセゾングループと、ソニーグループが組んで1999年7月に設立した新会社である。株主構成は次の通りである。

[ソニーグループ](50%)

ソニー(株)                    36%

ソニーコミュニケーションネットワーク(株) 10%

(株)ソニーファイナンスインターナショナル 4%

 

[セゾングループ](45%)

(株)クレディセゾン               35%

(株)株式会社西武百貨店           5%

(株)パルコ                     5%

 

(株)角川書店                   5%

 

 

2.事例分析

(1)両者の戦略の違い

イープラスはチケットの店頭販売から撤退したセゾングループとソニーグループの合弁会社である。チケットセゾンは、東京・関西などの一等地にあるデパートの中にプレイガイドを置き、チケットの対面販売をしていたが全国70ヵ所のプレイガイドの固定費がかさみ採算を良くするためにソニーグループと組んでネット専業に転向した。それにより店舗の必要性はなくなり、インターネット人口が増加していることもふまえ、ネット専業でも成功していけるという考えである。バーチャル店舗の課題でもある知名度、信頼度という問題もチケットセゾンのこれまでの知名度、ソニーのブランド力で消費者の安心は十分得られるので問題ないだろう。そして、チケットの本質が情報であり電子チケットシステムにより配送費がかからないといったメリットがあるので、ネット専業こそが勝ち残って行く戦略だと位置づけている。

ただ、現在は電子チケットシステムによるチケットはごくわずかであり、チケットの郵送期間を考慮して、公演日の10日前にはチケットの申し込みを締め切っているという課題はある。

ローソンチケットでは、全国約7680ヵ所にあるローソンの店舗に行けばネット上で購入したチケットを受け取れる。店舗に行けば、チケットの郵送料はかからないため、大多数のひとは店舗に取りにくるそうである。そして、ネットでチケットを購入した人をローソンの店舗に呼び込めれば、グループ全体で相乗効果が生まれるというクリック&モルタル戦略を狙っている。ローソンチケットは以前から、ローソンの主要顧客である若年層をメインターゲットに据え、J‐POP中心のチケットを品揃えしてきている。

 

(2)新しいビジネスモデルの活用

イープラスは、販売時期に応じて演劇やスポーツなどのチケット価格を変動させるシステムを導入した。単一価格が当たり前だったチケットの価格を、2000年4月のパルコ劇場「サイドマン」で公演間際になって価格を32%引きで販売した。結局、全体の1割近くをこの方法でさばいたという。これは業界初ということだった。

変動価格制は原則としてインターネットを通じて募集する会員制で実施し、基本的には演劇の場合で一般発売前1ヶ月間を早期割引、公演日までの残り日数が1ヶ月〜2週間以下の残席は一般販売価格よりも少なくとも2割程度安く販売する方針である。また、人気の高い公演は一般発売前に一般販売価格より高く販売する優先予約制度も検討している。さらに、委託販売制から買取制にすることで、価格の自由設定を可能にすることを考えているようだ。

 またイープラスは株式会社アランと共同で、第35回東京モーターショーの入場券を携帯電話を利用した電子チケットとして販売した。イープラスが手がけた電子チケットシステムは、携帯電話(iモード)の画面上に表示されるバーコードを認証して会場に入場する方式であり、お客はインターネット環境、携帯電話(iモード)を所有していれば、ネット上でチケットの申し込み・購入・決済が可能となり、直接、携帯電話で会場に入場することができるというものであった。

 ローソンチケットは、ネットでチケットを購入した人をローソンの店舗に呼び込むクリック&モルタル戦略をとっている、電子チケットシステムを行うこと、その戦略が機能しなくなるので採用することはできないだろう。

 

3.分析結果

(1)理想の店舗形態

ローソンチケットではコンビニのマルチメディア端末での販売だけにチケットセゾンの場合とは違い固定費がかさむことはない。現在のところインターネットを利用できるパソコンや携帯電話を持っていない人のことやチケット配送料を考慮すると、リアルの店舗を持ち、コンビニにマルチメディア端末が設置してあるローソンチケットは有利であるといえる。しかし、インターネット人口は確実に伸びており、情報機器を使ったインターネットに抵抗がなくなっている。そして、電子チケットや変動価格制といった供給側にも需要側にもメリットのある新しいビジネスモデルをはじめたイープラスのネット専業こそが今後勝ち残って行く店舗形態であるといえる。

 

(2)新しいビジネスモデルの構築による優位性

イープラスが実施している価格変動制によって、最初から見に行くことを決めている公演のチケットが安く手に入れることができるようになるし、逆に「残席狙い」で安くチケットを入手することも可能になる。チケットを買う側にとっては、こうした選択肢がたくさん出てくることはうれしいニュースである。興行主・チケット販売会社にとっても、売れ残りのチケットがなくなることから、良いシステムといえるだろう。

あとはこうした価格変動制の対象となる公演の数がどれだけ増やせるかがポイントとなるだろう。当初はパルコが主催する演劇が対象であったが、これから対象を広める予定で、徐々にこうした制度が定着していくのではないかと思われる。

また、電子チケットを本格的に適用することにより、郵送料の削減ができることから、この2つのビジネスモデルを構築することがネット販売において優位性を発揮するものと考えられる。

 

 

 

終章

 1.まとめ

まず、これからはチケットがネット販売に適していることから、ネットによる取り扱いが増えることは間違いない。そこで、ぴあ・ローソンチケット・イープラスなどが次々ネット販売に乗り込み熾烈な競争を繰り広げている。現時点ではリアルとバーチャルの店舗を持っている方がネットを利用できない人、郵送料がかからなくて済むことから有利と言える。だが、インターネット人口が増加し、これからは消費者はインターネットを活用して、自宅やオフィスのパソコンやiモードなどの携帯端末からイベント情報を検索し、チケットの予約・購入が簡単にできる。決済手段は、クレジットやモバイルバンキングで行い、チケットの配布はチケット情報を、ICカードや携帯電話等に格納したりする電子チケットが実現する。このようなことから、これからはリアルの店舗がなくても新しいビジネスモデルを取り入れることにより、チケット販売業界ではバーチャル専業で勝ち残っていけるとわかった。

 

 

 

 

 

参考文献

(1)前川 徹,「ネットバブルの向こう側」,(株)アスペクト,2001年

(2)高橋秀雄,「電子商取引の動向と展望」,中央大学商学会,2001年

(3)川又英紀,「激化するチケットのネット販売」,『日経情報ストラテジー』,

   日経BP社,2001年12月号,pp68〜73

(4)イープラスHP,http://eee.eplus.co.jp/

(5)ローソンチケットHP,http://lawsonticket.com/